
ピーター・ノーマンはメキシコオリンピックの男子200mで銀メダルに輝きますが、表彰式で人種差別に反対する行為が原因でその後オーストラリアの陸上界から処分を受けてしまいます。今回はそんなピーター・ノーマンの短距離の選手としての記録や成績とメキシコ五輪後の生活や国が謝罪した件についてまとめてみました。
ピーター・ノーマンの記録や成績は?
メキシコオリンピックの男子200mで見事銀メダルに輝きながらも、表彰式での人種差別に反対する行為が原因でその後オーストラリアの陸上界から処分を受けてしまいます。
ピーター・ノーマンのメキシコ五輪での記録やそれ以外の短距離選手として成績が気になったので調べてみました。
メキシコオリンピックの男子200mでは、
- 1走目:20.23秒
- 準々決勝:20.44秒
- 準決勝:20.22 秒
とコンスタントに好タイムを出し決勝では、20.06秒の自己新記録を達成して、19.83秒で当時の世界記録を達成したトミー・スミスの次にゴールして見事銀メダルを獲得しています。
メキシコオリンピックでは人種差別に反対する行為をして処分を受けてしまいますが、ピーター・ノーマンはその後も200mの選手として走り続けています。
1972年のミュンヘンオリンピックへの出場も目指していましたが、オリンピック選考会を兼ねた大会で向かい風の影響もあり、男子200mの決勝で記録が伸びずに21.6秒の3位。
一説によるとピーター・ノーマンは、ミュンヘン・オリンピックの代表選考会で出場資格を得たけれどブラックリストに名前が載っていることが原因でミュンヘンオリンピックの代表に選出されなかったそうです。
ピーター・ノーマンのその後の生活は?
メキシコオリンピックの男子200mの表彰式で金メダリストのトミー・スミスと銅メダリストのジョン・カーロスが人種差別に反対して、黒人公民権運動の象徴であるブラックパワー・サリュートを行いました。
二人の行動を支持したピーター・ノーマンは胸にOPHR(人権を求めるオリンピック・プロジェクト)のバッジを着けていたことが問題視されIOCから3人共処分を受けます。
ブラックパワー・サリュートをしたトミー・スミスとジョン・カーロスはそれぞれ別の拳を上げていましたが、これはもともとトミー・スミスが1人で両手に着ける予定だった黒い手袋をピーター・ノーマンが2人で片方ずつつけるように勧めたからなんだそうです。
ミュンヘンオリンピックに出場できなかったピーター・ノーマンは、陸上界からは引退し、オージー・フットボールというオーストラリアで人気のスポーツ選手になりますが、トレーニング中に起きたアキレス腱の怪我でもう少しで歩けることができなくなるという大怪我をしてしまい、スポーツをすることができなくなりした。
その結果、鬱とアルコール依存症になってしまったそうです。
この時、まだ奥さんがいれば少しは違ったかもしれませんが、ピーター・ノーマンは、メキシコオリンピックの後に妻とうまくいかなくなってすでに離婚していたのです。
ピーター・ノーマンは完全に鬱とアルコール依存症から立ち直るのに3年かかったそうです。
ピーター・ノーマンにオーストラリア政府が謝罪?
トミー・スミスとジョン・カーロスはその後、人種差別が撤廃されたアメリカで人権のために戦った英雄として今度は評価されるようになりました。
一方のピーター・ノーマンは、2000年にオーストラリアで開催されたシドニーオリンピックでもオーストラリア史上最高の短距離選手だったにもかかわらず、シドニーオリンピックの式典で何の役割も与えられませんでした。
しかし2012年の8月にアンドリュー・リー労働党下院議員が、「ノーマンへの死後謝罪」動議を出しました。
その際インタビューに答えたアンドリュー・リー労働党下院議員は以下のように述べています。
「ノーマンは200m陸上で20.06秒の記録で2位になった。この記録は未だにオーストラリア記録として破られていない。2000年のシドニー・オリンピックでの200m陸上金メダルより速かった。ノーマンの話はたった一人の人間でもどれほど世の中を変えることができるかを示した」
「1972年のオリンピックでも、ノーマンは除け者にされたままだった。それというのも、人権のために立ち上がったからだ。私は、オーストラリアが彼に対して正しいことをしたと思わない。人種平等のために立ち上がった人間を認めようとしなかった。1968年のオリンピックに行った人が私に話してくれたが、あのオリンピックで一番ぞっとしたのは、スミスとカーロスに対して、アメリカの白人選手から人種差別のヤジが飛んだことだ。当時のオーストラリアの白人、ピーター・ノーマンが正しいことをして立ち上がったことを私達は誇りにしなければならない」
参考:http://nichigopress.jp
まとめ
当時のオーストラリアは白豪主義で人種差別が公然とあるような状況です。
そんな中自分の信念に基づき人種差別に反対にする行動を起こしたピーター・ノーマンの勇敢な行動は最近になってようやく評価されるようになったそうです。
See ya!