
レイスディン・ブイヤンはニューヨークタイムズの人気コラムニストのアナンド・ギリダラダスが「The True American」で取材し、TEDでプレゼンテーションをしたテキサス州のダラスのコンビニで起きた襲撃事件の被害者です。生死に関わるような大怪我を負いながらも後に加害者を助けるための裁判を起こすなどアメリカ中に論争を巻き起こしたレイスディン・ブイヤンの経歴や現在とテキサス州のダラスで起きたコンビニ襲撃事件の真相などを調べてみました。
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レイスディン・ブイヤンの経歴は?
レイスディン・ブイヤンの本名は、 Raisudden Bhuiyan(レイスディン・ブイヤン)ですが、レイス・ブイヤン(Rais Bhuiyan)と省略した形で呼ばれることの方が多いようです。
また、「Rais」をライスと読んだり、「Bhuiyan」をブーヤンと読むこともあるようです。
レイスディン・ブイヤンは、1973年の9月にバングラデシュに生まれました。
バングラデシュでは、 空軍将校というエリートでしたが、アメリカで新しい人生を送るためにアメリカにに留学してITを学ぶことにしたレイスディン・ブイヤンは、テキサス州のダラスのコンビニでアルバイトをしながら学費と数ヶ月後に控えている結婚のためにお金を貯めていたそうです。
念願だったアメリカに渡り、婚約者もいて全ては順調に進んでいっていた矢先あの事件が起きてしまうのです。
頭を撃たれ全てを失ったレイスディン・ブイヤン
9月11日に起きたアメリカ同時多発テロ事件です。
この事件でたくさんの方が亡くなり、それ以降アメリカ全土でイスラム教を敵対視するような風潮が起きて、それに感化された人たちがイスラム教徒を襲うといった事件が多発しました。
そして、テキサス州のダラスのコンビニで悲劇が起きてしまいます。
アメリカの真の正義を自称するマーク・ストロマンが、レイスディン・ブイヤンが働いていたコンビニに来て「どこの国の出身だ?」と聞いてきたのです。
強盗だと思っていたレイスディン・ブイヤンは何を聞かれたのか分からず、「何ですか?」と聞き返したところ、アメリカ以外の出身だとすぐに分かるアクセントからレイスディン・ブイヤンがイスラム教徒だと断定したマーク・ストロマンはいきなりレイスディン・ブイヤンの頭を撃ち抜いたのです。
頭から血を流しながらカウンターの後ろに倒れたレイスディン・ブイヤンは、自分が死んでいくような感じでしたが、奇跡的に一命をとりとめました。
しかし、頭を打たれことで右目の視力がなくなり、婚約者も彼の元を離れていきました。
保険に入っていなかったレイスディン・ブイヤンは、入院した次の日には、まだ怪我が治っていないのに病院も追い出されてしまいます。
そして、働いていたコンビニのオーナーはレイスディン・ブイヤンをクビにして、更には住んでいた部屋からも追い出されてしまったのです。
このことからも、当時のアメリカでイスラム教徒がどれだけ冷遇されたかがよくわかります。
仕事も住むところも婚約者も失ったレイスディン・ブイヤンは、ホームレスになってしまいました。
どん底から這い上がったレイスディン・ブイヤン
バングラデシュの家族は、レイスディン・ブイヤンに帰ってくるよう説得しましたがレイスディン・ブイヤンはアメリカに残ることを選択しました。
そして、電話勧誘の仕事やイタリアンレストランでウエイターをしたり、しながら徐々に生活を立て直していき、ITを勉強していた頃に先生だった人に偶然出会い運良くパートタイムでしたがIT関係の仕事を紹介してもらうことができたのです。
その仕事で経験を積んだレイスディン・ブイヤンは、テキサス州のダラスでも有数のIT企業に就職することができたのです。
生活が安定してきた頃に自分を撃った相手が死刑になるという話を聞いたのです。
マーク・ストロマンは、レイスディン・ブイヤンを撃った時別の場所で他に2人のイスラム教徒を襲撃していたのです。
事件後に捕まったマーク・ストロマンは死刑判決を受けました。
事件直後に、もし自分が助かったら一生をかけて人々の役にたつことをすると誓ったことを思い出したレイスディン・ブイヤンは、なんと自分を撃ったマーク・ストロマンを公に許すということにしたのです。
レイスディン・ブイヤンは、憎悪の連鎖を絶たなければこのような問題は永遠に続いていくとマーク・ストロマンの死刑執行を中止する訴えを起こし、この話がメディアで取り上げられると全米でこのことが話題になり連日ニュースで取り上げられたそうです。
レイスディン・ブイヤンの訴えは実らずマーク・ストロマンの死刑は執行されてしまいますが、その前に二人は電話で会話をして、レイスディン・ブイヤンがあなたを許すというとマーク・ストロマンは心から感謝すると言いました。
レイスディン・ブイヤンの驚くべき行動とは
レイスディン・ブイヤンは、その後さらに誰もが驚くような行動にでました。
なんと、マーク・ストロマンの長女のアンバーが前科がありさまざまな問題を抱えていることを知るとなんとその彼女が厚生できるように支援すると申し出たのです。
自分を撃った相手を許し、その相手の子供の厚生を助けるというのです。
それは、彼の中でマーク・ストロマンがあのような事件を起こしたのは彼の生い立ちや幼少期の家庭環境によるところが大きいと考えたからだそうです。
日本でも、大きな事件を起こした加害者の過去を調べると、小さい時の家庭環境に問題があることがよく指摘されますね。
レイスディン・ブイヤンは現在「憎悪のない世界(World Without Hate)」という会社を立ち上げて講演をしたり、人権問題に取り組んだり、死刑制度廃止を訴える活動をしているそうです。
アナンド・ギリダラダスはTEDで自ら取材したレイスディン・ブイヤンが襲撃された事件について話しています。
まとめ
アメリカは一見華やかなイメージがありますが、貧困に苦しむ人も多くそういった人が住む地域では犯罪も頻繁におきていて家庭環境も複雑と言われています。
レイスディン・ブイヤンの活動は、そういった複雑な家庭環境で育った子供たちを助ける役目もあるのかもしれません。
アナンド・ギリダラダスさんのプレゼンテーションは素晴らしかったです。今年は二極化していく年だといわれています。
アナンド・ギリダラダスさんはレイスディン・ブイヤンさんを通して光の存在のあり方と闇に溺れてしまっていたマーク・ストロマンさんを取材してアメリカの二極化していることを具体的に教えてくれました。そしてどう生きていくべきかを示してくれました。とても考えさせられ学べました。感謝します。
松村理代様、コメントありがとうございます。アナンド・ギリダラダスさんのプレゼンテーションはとても興味深く私も聞き入っていました。番組終了後にYoutubeで同じTEDの動画を見つけたのでもう一度見直したくらいです。